何も知らない

ブログを始めることにする。
さしあたり、タイトルを考えねばならない。

しかし、私はネーミングが大の苦手だ。
昔飼っていたペットの名前はその時やっていたブログ上で読者から募集して決めたし、何年か前、成り行きで何故か自分のトークイベントを開くことになった時も、イベントの名前は知人に決めてもらった。
全部人任せである。一度くらいは自分で頑張ってみたい。
まあ、なにも思いつかないのなら「ヨウコのブログ」なんかでも良いのだけれど、ヨウコとはあまりにも平凡な名前だ。
この世の中には大勢のヨウコがいる。自分の名前をタイトルに冠したところで、一体どのヨウコなのか分からない。
クレーンゲーム機の中でゴロゴロと積み重ねられるぬいぐるみのような気分になりながらテーブルの上を眺めると、帰る途中にコンビニで買って来たクレープが置いてあった。
包み紙には「パティシエの声から生まれた卵を使っています!」と書いてあった。
その言葉を見た途端、懐かしい感覚が体の内側に蘇って来た。

小学校に入るか入らないかという頃。
何もかもがよく分からず、知らない世界に一人で放り出されたような気がしていて、いつも漠然と不安だった。
人の言っていることの意味がいまいち深いところまで理解出来ないので、テレビのバラエティ番組を見ては、いま、この人たちは一体どういう意味で笑っているのだろう?と、しょっちゅう真剣に考えていた。
そんな5〜6歳頃の自分だったら、先ほどの「パティシエの声から生まれた卵を使っています!」には絶対に引っかかっていたはずだ。
「卵はニワトリから生まれるはず。パティシエの声から生まれるってどういうことだろう?声は目に見えないものなのに、声から卵が生まれることなんてあるの?これ、見た目は普通のカスタードだけど、声から生まれた卵を使っているなんて、食べても大丈夫なのかな…。」
きっと、これくらいの疑問が一気に生まれていたに違いない。
そんな風だから毎日が戸惑いの連続で、でも、毎日が楽しかった。
新しく覚えたことを生活の中で実際に使ってみるのが何よりも好きだったので、覚えたらすぐに使える"言葉"になによりも没頭したのだと思う。
最終的には最も効率よく言葉の知識を得られるツール、辞書を読み耽るようになっていた。
寝る前にベッドの中で辞書の細かい文字を読むものだから、視力がみるみる悪化してしまった。

あの頃ほど鮮やかではないにせよ、そういう気持ちは今でも私の中に強くある。
どんなに年齢を重ねても、経験を積んでも、この世には自分の知らないことだらけ、わからないことだらけ。
だから多くのことを知り、経験し、それを言葉にし続けなければならない。
自分の人生を楽しいものにするために。
そしてその楽しさを誰かと共有するために。

そんな意味をこめて、ブログの名前は「なにもしらないライブラリー」になりました。
どうしてもブログタイトルに図書館という意味の言葉を使いたかった。使ったらこうなった。
絶妙にダサくていいなと思ってます。
色々書いて行きます。よろしくお願いします。